ふりかえりふりかえり/白井明大
 
れば

 もののはにあられふりける
 はらはらとあられふりける

     (三好達治『艸千里』所収)


抒情詩といってもさまざまあることがわかります。

 いのちさへおしからなくに

この詩を収めた詩集が昭和14年に出されていること、また戦中に三好達治が戦争詩を書いたことのほうに引きつけて読もうとすれば、あやうさを指摘することも可能かもしれません。が、しばしそこから切り離して、「かかるひのひとひをたへむ」の背景にある事情が何かを推量することも抜きにして、あらためてこの詩を読むとき、一連二連でこらえてきている書き手の心情の昂りが「あられふりける」の反復で放たれてい
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