昨日は孤独な世界?/錯春
いる。
無自覚にも。
それは時として望まない物語を、彼女に与える。
数少ないいくつかの、純度の高い結晶のような、悲劇にカウントされるのだ。
天国のようなお花畑が好き。シロツメクサの冠。たんぽぽの首飾り。耳の上にはレンゲを乗せて髪飾り。
(全部、ちーちゃなアブラムシがたかってるに決まってんだけどね)
ヨウイチはお花畑が好きだった。「男のくせに」と罵られるのが怖くて、一夜限りのセックスの相手にさえも、その祈りを聞かせたことはなかった。
今、彼は雨の中、500円のビニール傘を片手に、片田舎の道路を歩いている。
彼は終わらせようとしていた。
ある一つの、彼を少年た
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