「ともだちの、うた」/長谷川智子
 
 ‘なかった’というより 
 ‘こわかった’ 
  し 
 ‘おびえていた’ 
 のだろう 
 ぼんやりした 
 もやの中 
 黒っぽい紺色の 
 羽交い締め 
 それしか覚えていない 
 時に海を渡り 
 何人か 
 ‘たのしく’居られるひな鳥のさえずりの中に 
 その時々 
 身を置けた 
 今おもえば 
 しあわせだったのだろう 
 100年プリントのくせにすでに輪郭のぼやけた写真が 
 それぞれ物語る 
 … 
 ぴーちく 
 ぱーちく 
 ぱーちく 
 ぴーちく 
 「あまねはすきなひといないの?」 
 「
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