昨日は孤独な世界?/錯春
要は無い。)
彼女は思う。
(人がどこでどうやって死ぬかなんて、よほどのことが無い限り、わかんないし。ここで偶然死んだとしても、それって全然自然だし。死んだら腐るのも自然だし。こうならない方がおかしいし)
そして、彼女は振り返る。
順当な流れで、少年(彼は絵画塾のクラスメイトで、今、この瞬間に初めて声を交わそうとする)と出会う。
(死よりも生よりも、不自然なことが始まろうとしている)
ねえ、キスとやらを、かましてみようか?
キヌホは微笑む。
踵に妙に軽薄な骨の堅さを感じながら。
彼女の微笑みは、マスクを通して少年に伝わる。
色褪せたシーツ
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