優先座席/
チェセロロ
体温が浸食する 無機質の手すりを
握りしめたわたしは冷たさを交換した
優先座席なんて名ばかりで
優しさはみんな 風邪を引いているのだ
戸惑いを持つ 柔らかな座席は
知らないうちに冷たいお尻で温められた
ぼうぜんと立つわたしは
名もない罪悪感を抱いて
しわだらけの手が
冷たい現実を掴んでいるのを見つめていた
それでもわたしは人の間に立っているんです
戻る
編
削
Point
(1)