優先座席/チェセロロ
 
体温が浸食する 無機質の手すりを
握りしめたわたしは冷たさを交換した
 
優先座席なんて名ばかりで
優しさはみんな 風邪を引いているのだ
 
戸惑いを持つ 柔らかな座席は
知らないうちに冷たいお尻で温められた
 
ぼうぜんと立つわたしは
名もない罪悪感を抱いて
 
しわだらけの手が
冷たい現実を掴んでいるのを見つめていた
 
 
それでもわたしは人の間に立っているんです
 
 

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