道の真ん中の悲しみ/なかがわひろか
ゃんに
いろいろなことを話しかけて笑いあった
悲しみのお腹が十分に大きくなった頃
僕たちの可愛い赤ちゃんが生まれた
少し僕に似て
少し悲しみに似ていた
僕たちは赤ちゃんを大切に育てた
赤ちゃんは病気もせず
とても元気に育ってくれた
僕たちはいい親だった
赤ちゃんが大きく成長した頃
悲しみは僕に言った
僕は驚いたけれど
それも仕方がないのかと思った
僕たちは僕たちの子を
僕たちが出会った道の真ん中に捨てた
いつかまた誰かに拾われるように
僕たちは少し悲しかった
(「道の真ん中の悲しみ」)
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