白い砂漠に恋する夜明け/りゅうのあくび
峡谷を挟んで
街がまた一つ
大きな白い砂漠に
のみ込まれて
消えた報せ
夜空の向こうには
目が醒めるほど
白い砂漠の朝を待ちながら
砂粒は銀色に輝いて
すらりとした紺色の地平線へ
永い峡谷が走っている
吊橋がささやかに
明日の方角へと架かる
谷を流れるせせらぎは
恋の音となって
そっと聴こえてくる
夜明けにかすむ
遠い過去の記憶は
とても細かい粒をした
砂丘に埋もれる
古代の哺乳類の化石か
ダイヤモンドの原石のように
ここが地球であることも
忘れたみたいに
夢を抱えたまま
まだ眠りに就いている
鳥も飛ぶことが
できない空から
ちり
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