空の何処かに /
服部 剛
日曜日の広場で
バザーをやっていた
たくさんの子供等が
小さい手に紐(ひも)を握り
宙に揺れる
色とりどりの風船達
あっ
立ち止まる若い母と
ぽかんと口を開けた少年と
並んで仰いだ空に
舞い上がる
一つの赤い風船
五分ほど歩いて
ふたたび見上げた空の何処かに
すでに姿を消していた
いつか、顔を持たない僕等の空は
この世と違う引力で
自らの懐(ふところ)に包むように
吸いこむだろう
一人ひとりの顔をした
色とりどりの風船達を
戻る
編
削
Point
(5)