恋愛詩の教科書として読む『黒田三郎詩集』/イダヅカマコト
黒田三郎の『ひとりの女に』では結局彼女が誰かは分からずじまい。
ただ、彼女がささやき、愚痴をいい、座るということだけが言葉少なく語られます。
現代詩文庫の『黒田三郎詩集』には、『ひとりの女に』だけではなく、このとき結婚した奥さんが入院したときの娘との生活を描いた『小さなユリに』も全編入っています。
『秋の日の午後三時』の
遠くであしかが頓狂な声で鳴く
「クワックワックワッ」
小さなユリが真似ながら帰ってくる
など、『ひとりの女に』に比べて非常に細かく娘を観察していますが、
先ほど挙げた恋愛詩の4つのポイント
●好きな人に向けて書く
●好きな人のやったことを書く
●自分の心の中の出来事を書く
●好きな人の描写はしない
が守られていて面白いです。
この通りにやれば、多分僕も恋愛詩がかけます。でも、そういう詩を書きたいと思うかは、別問題です。
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