割れた月/梨玖
割れた月を見ていた
窓には冷えた空気が淀んでいた
振り返る
君の惨めな横顔が見える
その青白い頬
笑えないよ
割れた月を見ていた
窓には冷えた空気が淀んでいた
絶望も希望も含んだ声で名を呼ぶ
答えない
割れた月を見ていた
窓には冷えた空気が淀んでいた
もう諦めた
時刻は十二時
この窓を閉じたら眠るよ
割れた月を見ていた
窓には冷えた空気が淀んでいた
震える手をカーテンにかける
ぬるり、とした感触は 血だろう
割れた月を見ていた
泣いても誰も答えなかった
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