或る街で眠るお爺さんの夢/セルフレーム
ら叫んだとて、人間の驕りや捻じ曲がった心などは戻らぬ」
鏡の中に、今の世界が映った。
貧困に苦しむ子供たち、何もしていないのに悪魔の兵器に殺された人々。
鏡は、真っ黒になってしまっていた。
次目覚めた時、私は異国の土を踏んでいた。
現実味のない世界だった。
金属の建物、空を飛ぶ銀色の飛行機。
きっと、未来の世界だと、直感的にそう思った。
前方の滑走路から、一つの宇宙船が飛び立った。
素晴らしい速さで、空から消えた。
宇宙へと繋がる箱型の軌道エレベータ。
人がたくさん乗って、また空へと消えた。
次目覚めた場所は、いつものベットの上だった。
珍しく夢を見た。
不思議な夢だった。
―ぁ、婆さんが呼んでいるなぁ
或る街で眠るお爺さんの夢
未来都市には行きたいかもしれないが、
何だか
今の世界のほうがよっぽど
暖かい
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