或る街で眠るお爺さんの夢/セルフレーム
目覚めたら、
大昔の神殿が目の前にあったんだ。
或る街で眠るお爺さんの夢
目覚めたら、大昔の神殿が目の前にあったんだ。
中からは呻き声や溜め息や嘆きの叫びが聞こえていた。
私は不思議に思って、中に入ってみた。
月と太陽と星の飾りで彩られた鏡の前に、
神々は跪いて、
苦しそうに叫んでいた。
真ん中に立つ髭の大男(ゼウス)が、静かに言った。
「もう、世界はきっと止まらぬ。
我々がいくら望んだとて、聖域(ほしぞら)の汚染は止まらぬ。
我々がいくら嘆いたとて、未来都市(みやこ)の生成の運命は覆らぬ。
我々がいくら叫
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