過日の怪物/猫のひたい撫でるたま子
 
、歩いてきた道はもう既に変わってしまっている。それを頭まで振り上げて叩きつけて壊しても、尖った破片で怪我をするだけだ。

沢山の言葉を拾いながら本を閉じて、それらを集めたところで小説に解決は載っていない。

私が生きる現実と私が読む小説との違いは、どんな終わりにしろ、ここ、という地点でお話を終えることができないところだ。

ホームシックなんて現在ここが家だからそうではない。言葉が通じないのも、日本にいたってほとんどがそうだ。

不足を嘆くか、不足をどう足らすか、際限のない文句をいうだけか、考えて進むのか、全ては私にかかっている。私には私個人を生かす責任がある。

選択肢がないのは幸せなことで、毎日やるか、やめておくのか、決める選択肢は二つ。どんなに素晴らしい昨日より、どうしようもなく見えない今日のほうが遥かに自分に近い。

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