闇世/星月冬灯
 

 轟音  電車  闇

 この世はそれだけ


 そうして  できあがるのは

 嘘  騙し合い  猜疑心の世界


 ぼくは  生きている

 そんな中で  生きている


 なりたくない

 なりたくない

 けれど

 いつの間にか

 いつの間にか

 染まっている

 そんな世界に  染まっている

 
 もう

 辛いだとか

 苦しいだとか

 そんな  当たり前の感情(こころ)さえ

 忘れてしまった


 正義も愛も勇気も

 とうの昔に  投げ捨ててしまった


 こんなぼくを

 情けないと  思いますか

 だって  これが現実(いま)

 これが  普通


 こんな人間(ひと)たちが造る世界

 ただの塊たちが

 蠢いている生活(くらし)


 心の眼を失ったぼくに

 もう

 天使の声は  聴こえない

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