夜のナイフ、君はとても美しい。/ブライアン
 
告白をした友人は、新幹線に乗り込む者の背を見て叫んだ。君はとても美しい、と。笑い声がその背に届いたかは分からない。けれど、新幹線の速さならその声に追いつけるだろう。新幹線はゆっくりと動き出す。遠くへ、南へ走り出す。新幹線はまもなく山を越えてしまうだろう。
 車内に戻る。車のエンジンをかけた。カーステレオからカセットテープを取り出す。久しぶりだった。車の曲は変わった。もう、二度と「サヨナラバス」も「SWEET 19 BLUES」も聴くことはないだろう。変わっていく。永遠に別れるわけではなかった。けれど、もはや時間は過ぎてしまったのだった。

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