無題/渡辺亘
 
私が死ぬ時になって
永遠に解けない謎が解けますように
私が生まれる時と同じように

私が眠る時になって
永遠に解けない謎が解けますように
私が起きる時と同じように

私が夢から醒める時
永遠に解けない謎が解けますように
私が夢の中に沈んでいくと同じように

矛盾だらけの世の中で
矛盾だらけの人生を生きるのは辛い
耐えて耐えて生き抜いて
答えが見つかったようでも
その先は闇
しかし闇の中
細く険しい道を
突き進んで行けば ほら
曙光が見える
物事が窮まる時
道は開ける
夜明け前が一番暗く寂しいのは
夜明けが一番近いから
自然のリズムとはそんなもの
人生もそんなもの
闇が窮まる時
光は近い
そうやって明と暗を繰り返しながら
人生という劇は始まる

今日は天気がいいから
散歩でもしよう
見上げれば ほら
無窮の青空が見える
そんな瞬間が持てたことでも
人生は生きる価値があるんじゃないか
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