丘の上のまりあ象 /服部 剛
 
暗天の下に荒れる 
大海原に背を向けて 
丘の上の白いまりあ象は俯(うつむ)いて 
一人の幼子を抱いていた 

長年の雨や泥に 
汚れた背中を隠しもせずに 
只、一人の幼子を守ることのみが 
自らの使命であるように 

生きるほどに汚れゆく姿を 
すぐに隠そうとする私は 
丘の上にいつまでも立つ 
まりあの姿を仰ぎ見る 

私はそっと
両手を胸にあて 
瞳を閉じる 

たった一つの
目に見えない宝を 
守るように 




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