丘の上のまりあ象 /
服部 剛
暗天の下に荒れる
大海原に背を向けて
丘の上の白いまりあ象は俯(うつむ)いて
一人の幼子を抱いていた
長年の雨や泥に
汚れた背中を隠しもせずに
只、一人の幼子を守ることのみが
自らの使命であるように
生きるほどに汚れゆく姿を
すぐに隠そうとする私は
丘の上にいつまでも立つ
まりあの姿を仰ぎ見る
私はそっと
両手を胸にあて
瞳を閉じる
たった一つの
目に見えない宝を
守るように
戻る
編
削
Point
(5)