冷凍保存/1486 106
 
いつもの河川敷を歩いていたら
昨日まで咲いていたコスモスが枯れていた
僕は君にそう言われるまで
コスモスが咲いていたことさえ気付かなかった

何の気なしに繋いだ君の手は
思っていたよりずっと小さくて
夕暮れのセンチメンタルな空気に
泣きたくなるほどいとおしくなった

この気持ちが死ぬことはないのに
なぜ体の方が先に力尽きてしまうんだろう

例えば二人の体を冷凍保存して
西暦2500年の世界で目覚めたら
今よりずっと永く生きられるかな
今よりずっと一緒にいられるかな
また一つ過ぎ去る季節の中で
そんなことをふと思ったんだ


喪服の集団が列を作っている

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