ループ/十重山ハルノ
べ物は恵んでもらってばかり。
あなたはとても悪い人ね」
おじいさんは狼狽しうなだれて涙を流しました。
痩せたおじいさんは前にいた屈強な男に言いました。
「わしの家から食べ物を奪い取ったことは決して忘れない。
あんたは本当に悪い奴じゃ」
男はおじいさんを見下すように鼻で笑いました。
そうして星を一周すると、
最後は腰の曲がったおばあさんが
星の賢者に言いました。
「なぜ、小さい女の子にあんなことを言ったの?
あなたは何もわかっていない悪い人なのね」
賢者はおばあさんに背を向け言いました。
「たったのひとりも良い人間はいませんでした。
ただそれは、わたしたち
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