ループ/十重山ハルノ
ある星では、
ある年、
大変な寒い夏がやってきて、
食べ物がほとんど採れませんでした。
ある者は、木の根をかじり、
ある者は、自分の食べ物を
隣の人に少し分けてあげました。
またある者は、人の食べ物を
横取りしてしまいました。
ある日ひとりの男が言いました。
「この星を半分こして、
良い人間と悪い人間を
別々に分けてしまおう」
それはいい、それはいい、と人々は声を上げました。
「そうすれば、良い人間は安らかに暮らせるね」
「良い人間と悪い人間は、一体どのように分けるの?」
ひとりの女が言いました。
「星の賢者に良い人間と悪い人間を決めてもらおう」
別の男
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