マザー/ さくら
 
立ちすくんだ私の頬を
ゆっくりとつたう
何かが、わからなくて
くわぁっと声が漏れる

 
    ※

 
あなたの電話の声は、
どこか戸惑いの輪郭を描く

触れることのない寂しさを
飾り気のない陽気な声に
こっそりとしまい込んだのは

はぐれないように  


いつもと同じ会話の中で
いつもの夕べを繰り返す


けして多くを語らない
一本の揺るぎない線は
黄色の調べとなって
誰も知らないわたしの
ハートにリンクする

気が付けばいつもそうだった


触れて気づく優しさが
私の涙と混ざりあう

水の蒸発などする間もなく
黄色の調べは辺りに
溶け込み、

あなたは今も・・・


大切な感謝の花束を
湧き溢れる豊かな情景を
頬をつたう清らかな熱を

いつかあなたに

届けることができるでしょうか?

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