ほおずき/
見崎 光
黄昏に頬杖ついて
中身の持たない独り言
聴こえぬように
聞かれぬように
水面のか細い光の先を
なぞる視線も定まらず
虚ろに泳ぐ溜め息吐息
覚らぬように
悟らせぬように
苦い果実を抱きながら
首をもたげて暮れる端
愛し恋しと詠えども
風はゆりかご夢情話
しゃぼんのように消えてゆく
追ってはいけぬ
負わせてはいけぬ
黄昏時に橙の
小さな風船一二三
甘味の知らぬ刹那草
今宵も眺める明月は
涙となって落ちてゆく
静寂の夜を
慰めるように
戻る
編
削
Point
(2)