ほおずき/見崎 光
 
黄昏に頬杖ついて

中身の持たない独り言
聴こえぬように
聞かれぬように


水面のか細い光の先を
なぞる視線も定まらず
虚ろに泳ぐ溜め息吐息
覚らぬように
悟らせぬように


苦い果実を抱きながら
首をもたげて暮れる端
愛し恋しと詠えども
風はゆりかご夢情話
しゃぼんのように消えてゆく
追ってはいけぬ
負わせてはいけぬ



黄昏時に橙の
小さな風船一二三
甘味の知らぬ刹那草
今宵も眺める明月は
涙となって落ちてゆく
静寂の夜を


慰めるように







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