爆裂(上、後)/鈴木
号の居間にてサイダー飲みながら聞き終えると来須涼斗は
――もう一杯ください。
と言った。
――もう四杯目だよ?
――祥ちゃん五杯目じゃん。
本を読んでばかりの祥平にはじめて声をかけたこのクラスメイトが今や唯一の頼りだった。女のような顔をしていた。幻を話す相手にもなってくれた。しかつめらしい顔で相槌すれども内容は錯覚の一言で片付けてしまい、一度、雪の日に「ん」を見たことを泣きそうになりながら語ったというのにまたしても錯覚であると断ぜられたときは怒髪天を突き飛び掛ったものだが、またなに食わぬ顔で話をせびって興味深そうに聞くものだから憎むことができない。サイダーを注ぐ間沈黙が続いたの
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)