回転する蜻蛉/しめじ
 
を染めた女が漁師にはだんだんと美しくなるように思えた。そっと顔に手をさしのべると、女はにっと笑ってその場を去っていった。月は沈んで、空は雲で黒く覆われていた。


 翌朝、女が飼い犬にのど笛を噛み切られて死んだ。漁師は女の亡骸を海に流すと何もなかったように酒を煽って床についた。

 翌日も漁師は海に出る。干した人魚の周りを青色の蜻蛉がぐるぐるといつまでも飛び回っていた。やがて日が落ちて夜が来る。月が満ちて漁師はひとり人魚を炙る。煙は立ち上りつづけ、月の手前まで登り続ける。炎が夜の中で寂しげに燃えていた。朝日が昇るまでずっと煙を吐き続け。
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