異次元/1486 106
いる
ただ勝手に数を数えている
この世界に自由という概念はない
自分という概念も失ってしまいそうだ
34656歩
34657歩
階段を上り続けながら
色々なものとすれ違った
目が一つしかないウサギ
手と足が逆さまになった人間
首の無い赤い服の少女は
行方不明になった2年3組の転校生だと
会ったことはなくてもそう感じた
自分もいつかはああなってしまうのかもしれない
35646歩
35647歩
この階段を上りきることはないと
もうずっと昔から分かっている
自由という概念を失ってなお
意識が消えることはない
それが唯一の苦しみに他ならない
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