花の種/
 
人を生きる、という行為について
その明滅をとらえることは

まるでひとつの灯火のようだ


どうしようもないくらいに
淡くて
美しい感情は
もう消せなくなって

僕らはいつの間にか

泣くことを覚えた


血液と、有機的な何らかの構成要素
あとは少しのエゴと本能

命の匂いが混ざり合って

生まれる、という現象が起こる


種を、僕らは蒔くのだろう


柔らかな母体と大きな手に

期待など
最初からしない


花だと思えばいい


自分も

宇宙も


花の種


僕らは、まだ


そう言って

笑うことが出来る



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