夏時間/天野茂典
 
  
  

  夏雲のひろがる街よ燃えあがる道路に赤き百日紅の散る

  黙々と入道雲の空にたちのうぜんかずらの橙さえる

  ここからは道の跡絶えて砂の海絶望までの足跡長し

  砂山の砂に腹這い初恋の久江ちゃんなど思っています

  今ぼくが聞いているのはブル−スのジャニス・ジョプリン
  麻薬におぼれ

  かなかなの声聴くときは限りなく尖ったかなしみじいさんからの

  抜け殻の蝉のガラスを粉々に砕いてみたい炎天のROCK

  特急が過ぎてゆきます信濃からから落葉林の涼しさ乗せて

  青山に単語はありき声に出す空気は水分含んでいます

  白壁がまぶしい夢を叶えますさわってご覧その銀幕を

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