放課後/蜜柑
今日も夕暮れ時の静かな校庭で
二つの影が伸びている
最近私の掌にできたマメが潰れて
痛いんだ
分厚い皮膚の下から、ホントの私が見えている
君の姿を見ていると、心がズキズキ
痛いんだ
初めて君を見たあの日から
君が誰もいない校庭で、下手くそなシュートを
何度も何度もゴール目指して打つから
いつからか、私も出来ない逆上がりを練習している
夕日を集めて、オレンジ色に染まりゆく君を
目で追いながら
私の世界は何度も何度も回った
君も何度も何度もシュートを打った
君に触れたくて
君の長く伸びた影を踏んでは寄り添った
この逆上がりが出来るようになったら
君に告白しよう
どちらが先に上手くなるか競争なんだ
私は今日も掌にできたマメの痛みと心の痛みと共に
校庭で練習している
君は私の事など知らないかもしれないけれど
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