詩の領域2/パンの愛人
 
ー闘争をすることも、悪くないと思うのだ。少なくとも、誰かがイデオロギーを主張しているうちは。「あなたがそう思うのは自由だが、ボクはそうは思わない、ボクはこう思う」(その根拠はこれこれこのようなものだ)そういうのが、大事じゃないかと思うんだ。 }

 という実川氏だが、こういった左翼的心性も元ネタ作者たちから経由したものなのだろうか? それはともかく、「詩とは何か」という問い立てにたいして「あなたがそう思うのは自由だが、ボクはそうは思わない、ボクはこう思う」というのは、「『詩とは何か』という問い立ては、はっきりと無意味だと」考える実川氏には難しい行為だと思われる。なぜなら、問いを放棄してしまえば、ボクは何も思わないはずだからだ。すくなくとも「あなたの思うこと」と「ボクの思うこと」は同じ「思う」でも次元が違う「思う」である。それをイデオロギー闘争と呼べるかどうかは知らない。ただ、「ボク」と「あなた」の会話がひどく噛み合わないであろうことは想像がつく。
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