詩の領域/パンの愛人
 
によっては、携帯小説が詩であるかもしれないし、食べかけのピザが詩であるかもしれない。もしくは週末のピンサロ通いに詩を覚えるひともあるかもしれないのである。それをことさら非難するわけにはいかないが、かといってそういったひとたちとスムーズな挨拶を交わすことは困難である。したがって、ぼくらはかれらにたいして、ただ肩をすくめてみせるだけである。
 漠然としたかたちではあれ、自分にとって「詩」という概念が存在するかぎり、たとえそれが独善的なものであろうとも、それを放棄する必要はないと思う。
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