秋ざれ/三州生桑
 
の間にか黄昏時になってゐた。秋の日は暮れやすい。うそ寒い風が吹き、歓楽街のネオンが灯り始める。唐突に、先生は笑ひながら、道端に毒々しくきらめいてゐる看板を指差し、「お前は、ああいふ所で遊んだことがあるか?」と尋ねられた。「おごってやるぞ」・・・私が渋い顔で応へると、先生は大笑ひされた。さうして「変はらないのは、お前だけだなぁ」と寂しさうに仰しゃった。




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