回覧車?/ブライアン
 
と語り合うような。母が子に、楽しかった?と尋ねるような。船は汽笛を上げた。その音は海に飲み込まれる。観覧車で愛を語り合う恋人たちには届くはずもない。狭い一室で、二人は手をつなぐだろう。その目は輝く都市の方向を見ている。騒々しい音に満ちた街の明かりを見ているのだ。二人は夜を通り抜ける理由などなかった。戦場の乗組員とは裏腹に、この夜が永遠に続けば良いと願っている。永遠は半分に切っても、永遠なのだ、と。
 飛行機はわずか5分ほど遅れて着陸した。滑走路には光が照らされていた。飛行場だけがまるで宙に浮いているようだった。今、空を飛んできたのだ、と空を見て感心した。人類は重力から逃れたのだろうか。闇を切り裂き、宙に舞って。胃の不快感が溢れ出しそうだった。地球の重力を無視したためかもしれない。それは罰だった。神が創った夜を、重力を逆らった罰だったのだ。足が震えた。海に浮かぶ船はあと何時間で港に着くのだろう。

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