俺の冒険/日雇いくん◆hiyatQ6h0c
立ち向かう勇者のようだ。
そう思うと、自分が誇らしくなった。
自分の中でファンファーレが鳴り響くようだった。
もっともそれはワーグナーの曲なんかじゃなく、競馬の発走時の、すぎやまこういちの作ったファンファーレだった。
まったく情けない勇者だが、おれはまさに今、大いなる一歩を踏み出そうとしている。
俺の体の血が、まさに燃えたぎっていた。
「早く、誰でもいいから来てくれ……」
おれはひたすら、女が来るのを待った。
そして夜が明けた。
家に帰り、おれは再び対策を考えた。
また考えては眠り、起きてはまた考え、疲れるとまた寝た。
そのまま石になった。
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