部屋/猫のひたい撫でるたま子
いつかいなくなる人、お互いにどうでもいい人とは誰とでも入れるどうでもいい部屋でしか会わない。
会わなくなっても、いなくならない人は自分の中にその人専用の部屋が出来てしまうから、そこが空っぽになってもしばらくはシーツも代えないまま。他の人ではカタチが合わないパズルのような構造になっている。
どこが欠けているのか分かろうとはしない。
失くしてしまった鍵の穴から荒れた景色が流れ込んでくる。
時間をかけて、なぞられた愛情。都合の良い、体。言葉が通じない空間。
私がいない間に、誰か入れてしまうのなら、わたしは私だけの時間の部屋に内鍵をかける。
たった一人のあなたはどこにいるだろうか。
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