靴音とブルース/かのこ
のまま此処で行き倒れてしまいたいのに
ねぇ
そこのひと、ピアニカを持って
誰も立ち止まってはくれないのに
それでも歌うの
点滅する信号がリズムを奏でるなら
振り向くひとの髪がきれいに揺れたなら
聞こえてくるの、街中に腐るほどありふれた愛の歌が
ひとつひとつの音が、空をめぐって陽の光を呼ぶ
突然の土砂降りで、交差点は慌しく
あたしは、走れない靴を引きずって
でも少し、立ち止まってみた
息が切れてるから、今は
終点、HANKYU梅田駅から
もう一度出発する
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