どこか薄情/愛の嗚咽
 
辛いの、苦しい

彼女はそう言って落ちた
風に飲み込まれるようにするりと
どこにもぶつからず綺麗に土へ

僕は怖くて土を覗けなかった
真っ赤な海が、彼女が、そこに在ると思うと
涙が溢れてきて霞む


どうして、止めなかった

胸を抉って問い質しても答えない
ただ、軽快に震えるだけ

これから僕はどう生きたらいいんだ
彼女がいない世界なんて、灰

変えることのできない色と味気のない水
肉はまるで吸殻のよう
黒と白は共存を理由に寂びていき、呼吸困難


あああ、どうして止めなかった
どうして癒せなかった

彼女をどこか軽蔑していたのは確か
でも、それ以上に愛していた

もう戻れない
失くしてから気付くなんて、どこのラブストーリー
映画のワンシーンのように死にたい
絡まる指を解かずそのまま土へ


代わりの誰かを愛せだなんて不可能だ
また彼女を軽蔑した

そしてそれ以上に愛した
サディステックな僕はただの臆病者
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