「兎」/菊尾
のか。
そう思ったがその事に兎は触れずに、
「えぇ。そうしたいのはやまやまなのですが、その、私用でですね、少しこの場を離れなければいけません。」
私用?!
「えぇ。まぁ私の正体についての話になるわけですが、実は私、ただの兎ではないのです。」
えぇ、それはもう十分存じ上げていますよ。
「はい。中秋の名月、その晩に里帰りをするのが私どもの仕来たりでして。月にちょっと帰るんです。」
月?!
「はい。月の兎なのです。私。そうしてかぐや様にこの惑星の現状を報告する、まぁ定例報告会みたいなものですかね。」
あの、、
「分かっておりますとも
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