「兎」/菊尾
 
のか。
そう思ったがその事に兎は触れずに、
「えぇ。そうしたいのはやまやまなのですが、その、私用でですね、少しこの場を離れなければいけません。」

私用?!

「えぇ。まぁ私の正体についての話になるわけですが、実は私、ただの兎ではないのです。」

えぇ、それはもう十分存じ上げていますよ。

「はい。中秋の名月、その晩に里帰りをするのが私どもの仕来たりでして。月にちょっと帰るんです。」

月?!

「はい。月の兎なのです。私。そうしてかぐや様にこの惑星の現状を報告する、まぁ定例報告会みたいなものですかね。」

あの、、

「分かっておりますとも
[次のページ]
戻る   Point(2)