世界にひとつだけの「」/見崎 光
揺れるのは
花だけじゃない
ひとひらに広がるもの
ひとひらにそよぐもの
風に踊る葉の反射
水に映るありのままの景色
誰かの歌に傾けた
心と耳のしずく
どれだけちっぽけでも
どれだけくたびれても
それが、本物
繕って
背伸びして
鎧を着てたんじゃ
いつまで経っても
種のまま
土の冷たさより
土の暖かさに似た
空の蒼さを
草の影より
草の眩しさに透いた
風の薫りを
世界にひとつだけの自分で
世界にひとつだけの花を
世界にひとつだけの歌に
乗せて
揺れる
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