ひとりでごはんを食べていると うしろで何か落ちるでしょ ふりむくと また何か落ちるでしょ ちょっと落ちて どんどん落ちて 壁が落ちて 柱が落ちて ひとりでに折り重なって 最後に ゆっくり ぜんたいが落ちるでしょ 手を洗っていると 膝が落ちて 肩が落ちて なんだかするっとぬけるでしょ ひとりでごはんを食べていると うしろで何か落ちるでしょ (松井啓子「うしろで何か」全行)