共感装置の勝利/岡部淳太郎
 
分自身の中で空回りをしているようにも見える。いちおう「太陽」「葉っぱ」「成績」「君との思い出」「涙」と落ちるというキーワードに沿って詩的趣向が凝らされてはいるものの、あまりにも通りいっぺん過ぎる感じは拭えない。それは畢竟この詩(ポエム)が自分しか見えず、自分のことしか語れず、言葉を自分から引き離すことが出来ていないからだ。
 いっぽう、最初に挙げた現代詩に属する二篇はどうか。「うしろで何か」は語り口は平易であるものの、論理的な読み方を受けつけないようなところがある。「何か落ちる」の「何か」とは具体的に何を指すのか、それが明確にされていない。落ちるものが語り手の視線が届かない方向である「うしろ」に
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