さんばんめ/影山影司
この手紙を、送るのに、何人の手を経由したと思う？ きっとびっくりするよ。まったくこんな世の中じゃ、何をするにしても一人じゃ、不都合なことだらけです。そっちに荷を送るにしても、国家資料室からスパイが音源を盗む、それから、技師がレントゲン写真に転写する（しかもそのレントゲン写真は事前に僕が用意しておかなくてはならないのです）、それをこの国にいる運送屋に渡して、関所を通過、それからそちらにいる運送屋に渡して、それから君の所に行く。最低でも、これだけの手順が必要なのです。だから、きっとあなたは、言わなくてもそうするでしょうが、その肋骨レコードは大事にしてください。音楽を愛したあなたなら言わなくても、そう
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