鳥籠の水/
皆月 零胤
き
いつも決まって同じ鳴き声で叫んだ
多分僕の名前を呼んでいるんだと思った
籠からだすと嬉しそうに羽を広げたまま
ペタペタと僕のところまで走ってきて
その姿は僕に元気と優しさをくれたから
今日も空になってしまった鳥籠の水を換える
この部屋にはもう僕の名前を呼ぶ声がない
ドアを開け閉めしてもその音しかしないはずなのに
たまに呼ばれたような気がすることがあるから
今日も空になってしまった鳥籠の水を換える
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