鳥籠の水/皆月 零胤
 
子供の頃と違う理由で
おはじきを呑み込む
でも重くなるばかりで
透明を手に入れることができない

たとえ半透明ぐらいまでになって
軽くなってふわりと飛んでゆけても
シャボン玉よりもずっと早く
僕は割れてしまうのだろう

空を飛ぶことが自由だなんて
いつから思っていたのだろうか
その代償として背負う不自由を考えると
空を飛ばないことさえ自由なのに

最近まで飼っていた鳥はよく羽ばたいた
でもいつまでたっても空を飛ばなかった
似たものどうしの僕らだからか
何故か同じ時間にご飯を食べた

お互い食べているものをよく床にこぼした
僕が部屋からいなくなりそうなとき
[次のページ]
戻る   Point(8)