奥にあるコーナー/詩集ただよう
優しいことから始めよう。私がまだ深く悩んでいたとき、古くからの友人がそう言った。まさかまたその話をされるとは思ってもいなかった。あれは冬の誕生日、私がまだおさなかった頃の話だ。多くの事柄にまつわるもっと多くの小さな事柄、私はいつもそれらを引きながらずっと見ていただけだった。
その友人は二十三歳になる前に死んだ。女子供も混ざった祭りの神輿の賑わいの中、ふとした拍子に首を痛めて、長い入院を終えたあと、仕事場からの帰り道に倒れた。彼の家族は医者を責めたが、なにより彼が一番に退院を喜んでいたことを私は知っていた。彼が倒れる前日のこと、私は小さな人生の苦悩を打ち明けていた。
葬式では幸せに逝けた
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