或る夢のナカの話/梨玖
 
闇が聞こえて、螺旋の階段を写す

かたり、かたり、と降りる音がする

圧迫されるようなまでの重い空気が止まることなく、変動する

上がっているのか、下がっているのかはわからない

少し覚えているのは、何時か誰かが言った言葉

只願うのは、此の侭君が目覚め続ける事だけ


夢を忘れて日常を生きろと言うの

そうして眠る術をどうして僕は知らないの


「祈りでも願いでも結局は似たようなものだろう」

もう、瞼を二度と開くことはないだろうから


そう願って大量に飲んだ睡眠薬から

目覚る時が来るのなら、代償はきっと


酷く残る頭痛  それから



或る夢のナカの残像




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