悪意の在り処/岡部淳太郎
 
に対しても周囲に対しても危ない者でありつづけてきたのだ。そんな私が社会的な存在としての「人間」というものに時に嫌悪を抱いてしまうのも当然のことであるが、そんな者であるからこそ世界はますます私にとって住みよい場所ではなくなってくる。おそらく私ははじめから少しばかりおかしかったのだろう。生まれる時に心の部品のどこかに重大な欠陥があったのかもしれない。でなければこんなふうに思い悩みはしない。人間とは社会的な存在であるべきなのに、私はどうもそうではなかったらしいのだ。
 私のような者は遅かれ早かれ、自分自身の生への甘さや自分から離れられない性質のために制裁を受けることになるのだろう。そのためにますます自
[次のページ]
戻る   Point(6)