ALICE‐不思議ともう一つの国‐/愛心
すぎて 動けない
『立ち止まるな ちゃんと摑まえてやんな』
彼女があたしを引き上げる
あたしはふらつく足で 精一杯地面を踏んだ
あたしは走る
子供たちの 虚ろな瞳を背中に受けて
薔薇の棘が 皮膚を裂く
心臓が 沸騰した血液を 身体中に送る
喉が焼ける 目の前が霞む
なんて遠い
いつまで走っても 届かない
彼の手
でも
それでも構わない
ウサギを捕まえた瞬間 あたしの身体が壊れたとしても
あたしは ウサギの望みを
[次のページ]
[グループ]
戻る 編 削 Point(5)