レトロブルー/梨玖
綺麗なだけの水の中
廃れることのないこの体
頭の中は常に霞み
視界は晴れることなく歪む
全てが溶ける部屋で僕は現実を知った
閉じ込められたままの僕等
泳いではまた行き止まりになる向こうがわ
深い底に沈んだ誰かの欠片
せめてもの餞へ哀歌を唄ったけど
悲しみににも似た藍色の中
どれだけ声を枯らそうとも
決して届きはしない
この酸素の無い中
閉じ込められたままの僕等
泳いではまた行き止まりになる向こうがわ
それでも青は巡り続ける
たとえ息を止めたとしても
涙にも似た液体の中
傾き始めた僕等の白い世界は
少しずつ綺麗に溶けていくのに
まだもがき続けている
この酸素の無い中
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