秋田でもらった詩集1「北の詩手紙 第一号」/イダヅカマコト
 
を閉じ/葉裏に 指を走らせ」などという空をなぞるような筆の進み方が刺激的ですが、中でも「河」はたった13行で非常に大きな命を感じます。全部引用しても怒られないから引用します。

いっぽんの ブナの樹は
空へ走る いっぽんの河
血管に 吹き付ける風を聞き
太陽のくちづけを受けてきた
  (一枚の手のひらにも 一本の樹木が立っている

ブナの樹の いちまいの葉脈は
風に踊る ひとすじの水系
いのちの水脈に 耳を澄まそう
  (筋立ったいちまいの緑 指先になぞりながら



組曲のような「樹々のみどりに」に対して「クモノス」は一つのストーリーでできています。


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