硝子細工を/セルフレーム
 
とであった頃の空が、脳裏に焼きついている。
鮮明に浮かび上がる、雲の形、蒼。

光が消えて少し経って、小包みが届いた。
―君からだった。

手探りで紙を破いて、触ったものは冷たかった。


君には、光を失った事を伝えなかったのに、
点字で手紙が書かれていた。

医師からもらった点字表で、
必死に文字をなぞる。

わたしはいま、がらすのさいくこうばではたらいています。

はじめてつくったこのがらすざいくは、とりをかたどっています。

あなたにみてもらいたくって、おくりました。

あのころのそらににた、わたしのいのちのけっしょうです。


―硝子細工。

冷たい硝子を撫でて、羽を親指ではじいた。

硝子細工は、君に似ている。

綺麗な、透きとおる、潔白な存在。

貴方の命は、今、


私の手のひらの中に在ります。


硝子細工を



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